Q&A - 恩田陸

恩田陸のQ&Aが文庫になりました。

Q&A (幻冬舎文庫)

Q&A (幻冬舎文庫)

「ショッピングセンターで発生した謎の事故。死者69名、負傷者116名の大事故にもかかわらず、死傷者がでた原因がまったくの不明。さまざまな登場人物によるQ&Aだけで小説が進行し、すこしずつ事件の全容が見えてくる」これが小説の概要です。小説の舞台装置も凝っていて楽しめるのですが、恩田陸の小説のおもしろさは、登場人物の内面を、複数の視点からながめることで、浮き彫りにしていくところでしょう。この小説でもQ&Aを通して多重的に登場人物が語られる構造になっています。
「登場人物の内面が、複数の視点からながめることで浮き彫りになる」という点では、「黒と茶の幻想」が秀逸です。「大学時代の友人である中年にさしかかった男女4人が思い出に浸りながら屋久島に旅をする」という全くもってドラマチックでない設定なのですが、4人それぞれの視点で1章ずつ物語が語られていき、それぞれの視点によって一つ一つの出来事が多重化されることにより、見事に登場人物たちの内面が浮き彫りにされていきます。この本で恩田陸にはまりました。
黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)

黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)

黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)

黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)